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2014年06月28日

●スマートテレビに思う


フィリップス社がAndoroid OS搭載のスマートテレビを今秋発売予定、またFirefox OSもいよいよ動き出す。だがアプリ開発者が4つものモバイルOS用に作り込むのは大変と聞く。これは2強の牙城に食い込もうとしているWindows Phone8 OSを見ても明らかでメジャーなアプリ以外の貧弱さにはがっかりする。極端な例としてNHKのHybridcastランチャーはiOSに未だに無い。これらはHTML5方式のスマートテレビ用も例外では無い。

HybridcastもモバイルOSも結局ネット結線が大前提。もしそれが断になった場合はどちらも使い物にならない。いくらIPTV [※]でトリガーを電波に重畳したとしてもその先には進めない。条件は同じだ。ただ公共情報コモンズだけは例外と捕らえる。コモンズの大命題…緊急を要する情報は例え同じ人に何度も送られたとしてもいい、ただただ、受け取らない人は何人たりともあってはならない…全ての伝達者が同じ情報を提供する事により、デマなどの無い、住民に信頼され直ぐにでも行動に移せる真の情報となる。こういった緊急避難情報等は是非でも電波に乗せなければならない。だがその他の情報は通信でも十分伝わる。

「無理矢理スマホなりと連携をさせてこれでもかこれでもか、と騒いでいるような気がしてならない」と言われる。いや、全くその通りだと思う。せっかくHD画面なのに、近い将来4K/8Kスーパーハイビジョンに変わり超高画質・超大画面で見ているのに、その傍らでツイートのタイムラインを主画面を小さくしてまでも見るのか?と思うと首を傾げたくなる。

日本のテレビはいつ頃からかおかしくなってきた。一青窈の歌「もらい泣き」の歌詞にもこうある。
♪朝から 字幕だらけの テレビに かじりつく 夜光虫♪
何故こうなってしまったのか?喋っている言葉がそのまま字幕に出る、同じ日本語なのに。画面を汚すだけ汚して逃げていく。

画像のデジタル処理が簡単に出来るようになって思うことは、撮影が雑になった事。いい加減に長回しだけして帰ってくる。そして編集室に閉じこもりひたすらデジタル処理をかけて編集。いや大きなポスプロだとここからがディレクターと編集マンの腕の見せ所。思いつく限りの編集技術を駆使し巧妙に繋いでいく。そしてカメラオペレーターは自分が撮ってきた映像がこんなにも高等なデジタル作品に仕上がって思わず「カッケー!」と叫ぶ。

本末転倒。

そこには100年もの前から先人達が築いてきた映像文化の欠片も見当たらない。[カメラを持った男]、[極北のナヌーク]、そしてロシアのプロパガンダ映画[戦艦ポチョムキン]等々...ポチョムキンではスープ用の枝肉に蛆(ウジ)虫がわいているのだから衝撃であった。ミッキーマウスの誕生はというと世界初のウォルト・ディズニー白黒トーキーアニメーション[蒸気船ウィリー]。トーキーと言っても音楽と動物たちの声だけである。そして余りにも有名なチャールズ・チャップリンの作品の数々〜等々。そういう歴史を経て映像は生き抜いてきた。映像の表現に一つ一つ意味を持っていた。(幸い山形にはドキュメンタリー映画祭が生まれ映画研究会の仲間 もいて映像の歴史作品を暗幕を張ってフィルムで見る事が出来た)

そういう映像を大切にする気持ちを失っている。まるで使い捨てだ。写真家が自分の作品に字幕を書くだろうか?画家が自分の作品に文字を画くだろうか?(同様な事象は必要以上に喋りまくるナレーションにも当てはまる)

HTML5の概念に戻る。モバイルOSとの違い或いはWindows OSやMac OSとの大きな違いとしてデバイスOSに依存しない事が最大のメリットと聞く。ブラウザでアクセスしサーバ上でアプリが動作する。見かけ上はデバイスで動作しているような操作性。またデバイスでのアップデートは殆ど不要になりメンテナンスが容易。これはテレビの誕生、NTSC方式(アナログ放送規格)の誕生に似て出来るだけ送出側に負担をかけクライアントとなる家庭のテレビでは簡単に処理できる様に考えられた方式と同様の発想である。そう考えればスマートテレビにHTML5を採用する意味は大いにある。

あとはその使いようだ。シンプルなUI(操作性)になるのか?それとも何でもかんでも出来るUIになるのか?ただこれだけは言いたい。映像を汚さないで欲しいと。

[※] ハイブリッドキャストとデータ放送の違いは?今後の予定は? − NHKが説明会を開催

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